症例・喘息-1はじめに、概要① |
Ⅱ症例
概要Ⅲ考察
1患者
2現病歴
4生活歴・環境など
5四診
6診断
7治療と経過>
Ⅳ参考文献・摘禄
注
付録・・・①カルテコピー ②時系列表 ③喘証症例の病機
Ⅰはじめに
気管支喘息は、上気・喘・哮・喘促・哮喘などの中医病名に含まれる。
金元以前は哮と喘の明確な区別はなされていない。
現代中医の教科書では、大きく喘証と哮証に分けられる。
(喘には気管支喘息以外の病能も含まれている。
哮はほぼ気管支喘息に限定されている。)
①喘証は、喘鳴・呼吸急促・肩息・鼻翼呼吸などを特徴とする疾患である。
実喘(内生の邪と外感)と虚喘(精氣不足)に二分される。
危証では肺腎共におとろえ心陽も衰竭して、
発汗大量外泄による虚脱にいたる。
②哮証は、発作性の痰鳴気喘で、発作時には喉間哮鳴・呼吸困難等を伴う。
熱哮と冷哮に二分される。伏痰が誘引となることが多く、
長期にたると肺・脾・腎が毀損し、外衛が弱り外邪に侵襲されやすくなり、
脾虚生痰・腎虚気失摂納あるいは陰虚火旺となる。
危証では喘証と同じく脱証にいたることもある。
①②いずれも呼吸困難がひどいときは,平臥不能となる。
(参考『実用中医内科学』中医古籍出版1989)
歴代の病因病機や伏邪・伏痰についての解釈は、
末尾の参考文献摘禄を参照のこと。
Ⅱ症例
概要-1
2006年連休明けの5月8日月曜日、
やせて小柄な73歳の女性がタクシーでやってきた。
駐車場から治療室までは、15メートルほどの距離だが少し登りになっている。
息苦しそうに、時々セキをしながら、ゆっくりゆっくり歩いてくる。
眼神はしっかりしていて、問診表への記入もできる。
症状や経過も理路整然と説明できるが、
話すとき息苦しそうである。
四月の半ばから少しずつ悪くなってきていたが、連休中にさらに悪化した。
ここ数日は少し動いただけでも、息切れがし、セキ込み、汗がでる。
だるくて、くたびれる、食欲もない。
一人暮らしで犬と一緒の生活だが、犬の散歩どころではない。
夜中になると
ヒューヒュー・ゼーゼーして眠むれないし、汗もでる、
・・・と語る。
概要-2へつづく