腰痛と腹瀉-5 症例二② 診断、治療 |
治療
(六) 診断と病因病機
(1) 弁病①腰痛
②腹瀉後の便秘と誤下
(2) 弁証素体・・・瘀血・脾虚・湿
現在・・・脾失健運・血不養筋・傷経筋・湿停滞
(3) 病因病機【内容】
①脾気虚、脾失健運、湿盛湿困脾土、栄血不足、血不養筋。
②傷足陽明・足太陰経筋。(注1)
③湿停于腰・殿・脊。(注2湿腰痛・参照)
【説明】
素体は脾気虚で、水分摂取も多くて(しかも冷水)
湿停滞の傾向がある。
海外旅行で気虚が進み、食積と湿がさらに停滞した。
最初(5/14)の暴瀉は、食積腹瀉である。
(注3泄痢の久暴・参照)
(注4腹瀉の証型・参照)
これによって、食積はやや下ったと思われるが、脾気はさらに損傷。
食欲が低下し、運化が失調し湿邪が停滞している。
暴瀉の後は、腹中にものが無いので数日便秘した。
右少腹の腹痛は、食積と下痢後の気滞血瘀と、
湿邪よる腹中の脈絡痺阻によるものだろう。
あるいは湿熱の伏邪も有るかもしれないが、5/17の内科の検査では問題なし。
(一年半前にも痛んで、抗生剤を飲んだことがある)
中焦の働きが落ちて陽明*・太陰経筋の養いが不足している。
そのためわずかの刺激で、右腰から臀部にかけての足陽明・足太陰の経筋を痛めた。
(*中医臨床2007年6月号p117では太陽となっているが陽明の間違いなので、ここに訂正する)
湿が停滞しているので、朝の起きがけや、じっとしていた後の動き始めに痛む。
動いているうちに気がめぐり、湿も又ある程度めぐるので少し楽になる。
しかし、じっとしていると再び停滞するので、次の動き始めが痛む。
内科医は5/17に浣腸して下した。
そして水様便下痢の後、喉が渇きしんどくなった。
(5/17の浣腸で再び下痢して、気と津液が虧損された。)
便の臭いはきつくないので熱は無く、湿だけと考えられる。
(七) 治療
(1) 治則先瀉後補。
虚実は、本虚標実。
まず実邪(湿)を去り、後に正気を補う。
(2) 治法疎通經絡・
健脾利湿・
活血通絡養血
①まず通絡して動作痛を軽減させる。
②同時に健脾して運輸・化成を正常化し、湿を除く。
③また通絡しつつ養血して経筋を養う。
・・・・②③にはある程度時間がかかる。
(3) 基本配穴【鍼】脾兪・・・・・・補法〇、左右の穴の反応を見て虚則を補す。
意舎・
三陰交
脾兪は実(硬結・緊張・圧痛など)が強ければ瀉▲も加える。
何れも毫鍼一寸二番(30mm×0.18mm)
【灸】足三里・・・・・灸・半米粒大七~十壮直接灸
陽池
【加減】公孫・・・・・毫鍼で理気、補虚
肝兪・
大腸兪・
魄戸
(4) 手技毫鍼は提挿・を組み合わせる。
捻転・
呼吸・
開闔
灸は直接灸。