二つの火-13 人火、石木の火 ② |
第四章 二つの火・・・項目番号は引用者による
一、着想の現場 151
二、昌益は誰を批判しているのか 155
三、太陽の火 158
四、日用の火 162
五、龍火・陰火・天火 164
六、本気と余気 168・・・(注・芳村恂益『二火弁妄』1715に触れている)
七、人火、石木の火 171
八、連続と不連続 174
九、太陽の徳 189
君火を太陽の火とする張介賓の説は、
玄医を経由して、恂益に至ったとみられる
恂益の余気とちがって、玄医の相火にはさまざまな火がふくまれる
玄医は、龍火や雷火といった怪しい火の存在について、疑念をいだき
それらが特殊な性質をもつことを否定していた
暫定的な結論・・・昌益の批判する君火・相火は、
実質的に、名古屋玄医にみられたそれであった
七、人火、石木の火・・・②
君火を太陽の火とする張介賓の説は、
玄医を経由して、恂益に至ったとみられる。
しかし相火については三者の説は異なる。張介賓はそれを原泉の温とし、玄医の説は、ここにいう「その余気」を
恂益は君火の余気としていた。君火のあまりとみれば恂益の説につながるかもしれない。
しかし恂益の余気とちがって、玄医の相火にはさまざまな火がふくまれる。
そのなかに「人火、石木の火」があることが注目されよう。
玄医の説は、昌益の批判するものにきわめてちかいように思われる。
君火を「転の日輪」、相火を「定の万物具足日用の火」とする説を昌益は批判していた。「万物具足」の火は玄医のいう石木の火、にあたるであろう。
「日用」の火は玄医のいう人火
玄医の相火には、さらに龍火や雷火がふくまれる。
しかしそうした怪しい火の存在について、玄医は疑念をいだいていただろう。
すくなくとも、そうした火が特殊な性質をもつことを玄医は否定していた。
昌益が玄医の著書にふれたかどうかはわからない。
恂益の『二火弁妄』についてもそのことはおなじである。
昌益は玄医の説と似た、誰かほかのひとの説を念頭においていたかもしれない。あるいは誰の説でもなく、昌益は批判すべき説を自らでっちあげたのかもしれない。
しかし、昌益の批判対象をめぐるわれわれの探索は、
一応ここでおわることにしよう。
暫定的な結論はこうである。昌益の批判する君火・相火は、実質的に、名古屋玄医にみられたそれであった。
七、人火、石木の火・・・おわり
二つの火-1・・・小林博行『食の思想―安藤昌益』
二つの火-2・・・昌益は誰の説を念頭に置いているのか
補足・二つの火-2・・・運気論の緒篇は十世紀初頭の創作らしい・
二つの火-3 太陽の火-①
二つの火-4 太陽の火-②
補足・二つの火-2
二つの火-5 日用の火
二つの火-6 龍火・陰火・天火①
二つの火-7 龍火・陰火・天火②
二つの火-8 龍火・陰火・天火③
二つの火-9 本気と余気 ①
二つの火-10 本気と余気 ②
二つの火-11 本気と余気 ③
二つの火-12 人火、石木の火 ①
訂正・・・二つの火-12 人火、石木の火 ①
二つの火-13 人火、石木の火 ②
二つの火-14 連続と不連続 ①
二つの火-15 連続と不連続 ②
二つの火-16 連続と不連続 ③
二つの火-17 太陽の徳 ①
二つの火-18 太陽の徳 ②