ルネサンスと自由主義と奴隷制・・・『隠されたヨーロッパの血の歴史』 |
現代の奴隷制について、副島隆彦が『隠されたヨーロッパの血の歴史』で、以下のように言及している。
「イエズス会自身が、大々的に奴隷売買をやっていた」というのは、知らなかった。
ドミニコ会などの一部は、反対したらしいが、
やはりローマ教会は植民地での奴隷制を認めていたようだ。
ジャック・アタリ 「1492 西欧文明の世界支配」p346
「たとえイサベルが、インディオを奴隷にしたり、その土地を収用したりすることを禁止し、インディオたちが法的にはスペイン人と平等の、王国の臣民としてみなされるようはっきり要請しても、ローマ教会は―一部のドミニコ会士とフランシスコ会士をのぞいて―生まれつきの奴隷に関するアリストテレスの教義を認め、インディオを劣った野蛮な存在とみなす。」
“あそこで人間たちの空気、「ニューマ」「エトス」が変わったのだ。
それを簡単に言うと「奴隷労働を認めない」という思想だ。・・・
北ヨーロッパで16世紀に成立した市民の気風だ。”
という部分は、今一つ納得できない。
しかし、メディチ家の後押しによる新プラトン主義が、ルネサンスに果たした役割については
良く解った。
参考
2012年 05月 23日
歴史を知ろう-10・・・・大西洋の三角貿易と「奴隷」
2012年 07月 02日
歴史を知ろう-14 奴隷貿易と資本蓄積・・・『近代ヨーロッパの誕生 』(講談社選書メチエ )
2013年 02月 16日
シュタイナー『悪について』副島隆彦『隠されたヨーロッパの血の歴史』
2012年 04月 16日
歴史を知ろう‐5 松原 久子『驕れる白人と闘うための日本近代史
副島隆彦
『隠されたヨーロッパの血の歴史』KKベストセラーズ(2012/10/26)
第五章 イタリアが分らないとヨーロッパが分らない
p256-259(一部省略して引用)
小泉純一郎、竹中平蔵が奴隷売買を復活させた
だから、リベラリズム、自由主義というと「無前提にすばらしいもの」と、日本人は思い込んでいる。
けれども、そんなに無条件にきれいなものではないのだ。
リベラリズムの背景には穢らしい人身売買、奴隷売買を認める性質がちゃんと張り付いている。
それでもルター革命以来の、“北方ルネサンス”(オランダが中心)のプロテスタント革命で何が変わったかというと、気風が変わった。
この気風のことを「エートス」と言っても、「タイプ」と言っても、「モード」といってもいい。
あそこで人間たちの空気、「ニューマ」「エトス」が変わったのだ。
それを簡単に言うと「奴隷労働を認めない」という思想だ。
・・・北ヨーロッパで16世紀に成立した市民の気風だ。
しかしフィレンツェをを含めたイタリアの都市の商人たちはまだ奴隷売買をやっていた。そのことをヨーロッパ歴史学はずっと隠している。学者たちがいけないのだ。
イスラム商人、インド商人、華僑、ユダヤ商人たちと同じように、イタリア商人もスペイン商人も、奴隷売買をやっている。
・・・誰がそんな人身売買(ひとさらい)や、大量の売春業や麻薬業の穢い取引のことまで帳簿に書くか。
・・・もっと恐ろしい本当のことを書こう。
ローマ教会とその尖兵であるイエズス会自身が、大々的に奴隷売買をやっていた。
そうやって教会・教団の運営費を稼ぎ出していたのだ。
・・・日本の徳川氏(江戸幕府)が、何故、やむにやまれず鎖国を断行したのか。
それは、日本側が、八幡船と呼ばれる黒塗りの十字架のついた大形スペイン船で、買って集めた日本人の少女たち(色白で高く売れた)を大量に積んで、スペインとイエズス会が、東南アジアにどんどん売っていた。この事実を幕府が知ったからだ。
今の日本にも実は、奴隷売買はある。
小泉純一郎と竹中平蔵がやった「規制緩和(デレギュレーション)」と「労働基準法の改悪(破壊)」がそれである。
竹中平蔵らが唱えた「自由化」は、奴隷売買を認める思想だった。
それで企業は、正社員をばさばさ切り捨てて、派遣や長期アルバイトに切り替えていった。
コンビニ店やファミレス店の店長でも正社員ではなくて、長期アルバイトの者に店長をやらせている。
一日18時間ぐらい働かせ掌、店長の名前だけ与えて5万ぐらいの手当だけやって、死ぬほどこき使って、そして過労死させていく。
みんなアルバイトだから奴隷労働なのだ。