さあ、これから西洋近代は、他者に対面することになる |
西洋世界では、日本で言えば江戸時代のころから次第に、物理・化学・生物学が発達した。
それが臨床に応用できるまでに数百年かかった。
伝統医学としての西洋医学が、近代医学に脱皮したのは1870代前後のことだ。
それ以後、基礎と臨床の区別、あるいは解離は、進んだと考える。
中国由来の伝統医学には、そういう意味での基礎医学と臨床医学の区別はない。
すべて臨床医学であり、その根底にある思考方法や原理は、医学ではなくて「世界観」である。
西洋の医学にも「世界観」はあるのだが、それは教科書には書いてないし、臨床家も基礎医学研究者も、常に自覚してはいない。
基礎と臨床を分けるという発想自体にも、今まで本質的な考察がなされただろうか。
これは実に不思議なことだ。
自らの方法を、意識しないでいられるほど、他者の存在を意識せずに済んだ期間があった・・・ということだろうか。
いわば当たり前すぎて、ことさら取り上げるほどに大事なこととは思っていないのかかもしれない。
さあ、これから西洋近代は、他者に対面することになる。