腎気上攻の文献研究Ⅳ-3 |
《要旨》
上逆の機序・・・・・督脈と腎気と邪
一、督脉・三つの流注
二、腎気の虚実による升降の違い(一) 陽気の虚=不升・・・上昇説三、陽気不足と、邪(濁陰・地気)
(二) 陰気の虚=不降 (収納の失調)・・・下降説
四、陰気不足と、邪(虚熱・湿熱・痰)
五、熱痛(陰虚)と寒痛(陽虚)
《小結》
注一、督脉の流注
注二、陰気について
二、腎気の虚実による、升降の違い
腎気の正常な流れには、「上昇」と「下降」の二説がある。
正気が不足すると、
どちらの説でも気機の「升降が失調」する。
(一) 腎気の上昇説(許叔微、喩昌、葉天士)・・・・・陽気の虚=不升
許叔微は、「腎気は清気であり、上るのが順」だという。
「督脉の主脈」の上る働きは、
「腎中の陽気」に左右されると考えられ、
腎陽が不足すると「不升」となる。
喩昌・葉天士など、
許叔微(椒附散)の引用者は上昇説と考える。
(二) 腎気の下降説(載原礼、李冠仙)
・・・・・陰気の虚=不降 (収納の失調)
載原礼と、彼を引用する者や李冠仙は、
「腎気は、下るのが順」であるという。
腎の納気・摂納といった「腎の陰気」の機能は、
「督脉の背部支脈」と
「太陽経」の、
降下の働きを支えている、
と考えられる。
したがって
「腎の陰気」が不足すると、
下降する腎気(督脉背部支脈または太陽経)の正常な働きは障害され、
「不降」あるいは「不収納」となる、
と考えられる。
・・・・・・・「陰気」については注二参照