症例アトピー②診断・治療 |
Ⅰ症例
6四診
7診断と病機
8治療と生活指導
6.四診
(1)望中肉でやや細身の感じ。
目がパッチリ・クリクリして白目(白睛)が青味かかった感じ。
【舌】淡白、薄白苔、口中乾燥している。
【面色】紅、
【爪】淡白、
【皮膚】
①湿疹の部位初診(8/3)の時点で皮疹は、上半身に多い傾向にあった。
症状(痒み・発赤・掻傷など)が強い部位は、
まず顔面、
首、
上肢(上腕から指先まで)、
次いで背部、である。
腹部の体側と
膝裏
②皮膚の性情≪手の指先≫
指腹が乾燥して割れている。(右が多い)
≪顔面≫
湿疹の部位の赤さに加えて、正常な皮膚も上気し広い範囲で赤くなっており、乾燥傾向だった。
(のぼせて自覚的に顏にほてりを感じる)
≪下半身・腹部・背部の皮疹≫
初診時既に大分落ち着いていたが、
皮膚一面にくすんだ灰黒に赤の混じった色が沈着していた。
≪活動している湿疹の部位の性情≫
ツヤはなく乾燥しているが、肥厚はしていない。
痒み・発赤が強いので、いずれの部位にも掻き傷はあるが、腫脹・膨隆・浸湿液などは無い。
(大きな掻き傷にわずかな浸湿液があっても、少量の血とともにすぐ固まる。)
(2)聞話しぶりは、明瞭でハキハキしている。
皮疹の部位に特に匂いは無い。
(3)問【食事】一日三回(三回とも米飯、白米)。
夫が好きなので油ものが比較的多いが、患者本人は油ものをあまり食べない。
【飲み物】コーヒーが好き(ブラック)
【大便】1回/日、すっきりでる
【尿】4~5回/日
【睡眠】
24:00~5:00
最近は、痒くて熟睡できない。
(夫の朝が早い、夜は自分の時間がほしいので遅くなる。)
【生理】
初潮十二歳、
周期35日、
量・普通(2~3日目にが多い)、
色・鮮紅色、
血塊・少量、帯下・排卵期に少量(白色)。
生理痛・・・強い痛みが、初潮以後毎回ある。
生理二~三日目以降出血が少なくなったころに、下腹と腰の鈍痛とだるさがあって腰に力が入らず、立っていられなくなる。(痛み止めを飲む)
生理前後の体調・生理前に甘いものがほしくなり、とても眠くなる
【妊娠】三回、【出産】三回
(4)切【皮膚】全体に乾燥している。
【肌肉】軟弱で、特に下肢膝下は全体に腫脹はないがブヨブヨしている。
【脉】幅の無い緩脉(左右差は無い)
【腹】全体に軟弱で特に緊張や圧痛は無い。
中脘から臍にかけて柔らかい動氣が触れる。
【手足の要穴】
内関から郄門にかけて熱感あり右が左より強い。
足首から下は冷えている。
その他は特になし。
【背部輸穴】
肩背部の膏盲から魄戸にかけて凝っている。
肌肉が全体に軟弱だが、目だった虚実は無い。
わずかに左右腎兪、右肝兪が陥凹し虚している。
【その他】
本人の自覚として、
顔面と手掌の熱感(ほてり)があり汗も多い。
疲れると後頭部にも熱感とこりを感じる。
他覚的に、顔面は上気して赤く、手掌も触ると熱く汗ばんでいる(右≧左)。
百会から前頂にかけての右側にも、他覚的に熱感あり(圧痛もある)。
7.診断と病機
(1)弁証・・・・・・・・陰血不足陽亢 (上焦の熱)
気滞
衝気上逆
(2)病機・・・・・・・・図と考察を参照
8.治療と生活指導
(1)治療間隔・週一回
(2)治法・治則
初期・・・・・・瀉主補従(清熱・降気・理気・養血)
安定後・・・・補法主(補養陰血、陽亢を抑える)
(3)配穴・・・・・風邪を引いたとき以外は、ほぼ以下の配穴で治療した。
①初期
・・・一診(2007,8/3)~八診(9/22)
清熱、降気、理気、養血 (瀉を主とし、補を従とする)右肝兪(補)、
左三陰交(補)、
右内関(瀉)、
上星右(瀉)
(瀉法は過ぎると、気虚を悪化させるので脉力を見ながら加減する。)
②安定後
・・・九診(9/29)~二十三診(2008/1/18)
陰血を補い、陽亢を抑える。(補法を強める)
前方より内関を去り、
双腎兪(補) を加えて、清熱を弱め養陰を強めた。
双腎兪(補)、
左三陰交(補)、
上星右(瀉)
(気滞があるときは、肝兪などで理気する。)
(陽亢があるとはきは、右内関・上星右などの瀉を適宜加える)
(4)補写手技呼吸・開合・提挿の組み合わせ。
補法は虚側に取穴。
数分間置鍼しながら手技を行う。
瀉法は実側に取穴し、置鍼せずに手技を行う。
右内関・上星右は、穴位にとらわれず、熱感・圧痛・緊張・などの反応のあるところを使う。
(5)生活の注意早く寝ること
(十二時前に寝ること。
可能なら八時間以上たっぷり寝ること。)