背熱痛・乾咳・臀部痛・不眠・・・多彩な症状-3/6 診断と病機 |
診断・・・弁病と弁証
治療方針・・・治則と治法
配穴
生活指導
病因・病機・・・初診時の分析(一)素体
(二)主訴
【診断】・・・弁病と弁証
《弁病》虚労《弁証》腎気上攻(背熱痛)
陰虚肺燥(干咳)
心腎不交(不眠、左下肢全体のシビレ)
胃陰虚あるいは肝胃不和?(胃痛と臀部痛)
血不栄(臀部痛と伸膝仰臥不能)
【治療方針】・・・治則と治法
《治則》補虚と、調気(升降)を主とする《治法》養血《治療間隔》
養陰
降気
清肺本来は一日おきか、三日に一回のペースで治療したいところだが、時間が取れないので、週に一回の治療となる。
【配穴】
①養血・・・三陰交
②養陰・・・照海、脾兪(補脾気、補脾陰)
③降気・・・大腸兪、照海
④清肺・・・尺沢
⑤疏通経絡・・・三陰交、脾兪
治法には入れていないが、三陰交と脾兪には背部の
「脊柱左に側弯し、起立筋は左が緊張している」という状態に対して、
養血と疏通経絡の効能も期待した。
【生活指導】
①冷飮をやめる、ビールを休止すること。
②降圧剤
・・・服用中の二種の内にACE阻害薬があればやめて、Ca拮抗薬だけにすること。(ACE阻害薬の副作用が、空せきを増悪している可能性があるので)
【病因・病機】・・・初診時の分析
(一)素体患者は55歳で、二年前53歳に閉経している。
年齢的に、肝腎不足の傾向となってくる時期。
入眠困難は52歳から始まっている。
睡眠不足は陰気を消耗する。
閉経を挟んで53歳~54歳ころから仕事が多忙となる。
(仕事am8:80~pm7:00会議かあるときはpm9:00
訪問看護〔事務:訪問=2:8〕休みは月に八日あるが、半分はつぶれる。)
この閉経前後の時期からセキ(昼も夜も)が出始める。
不眠が続いたり疲労がたまると、胃痛も起きるようになった。
(当然セキで眠れないと悪循環となる。)
《まとめ》
以上の条件は、素体の陰気・肝腎の精血を消耗する。
虚熱も生じる。
虚労による虚熱が、胸にたまれば肺燥の干咳となり、となる。
背にたまれば背痛
陰不足により肺と胃の津液が不足し、
虚熱が胃に及べば胃陰不足で胃痛を起こす。
(舌紅、津少、苔少口中乾燥、疲労で胃痛とセキが憎悪)
肌肉にたまると痒みとなる。
(周に一~二回亢アレルギー薬服用)
胸から上までたまれば、入眠困難にもなりやすい。
左下肢全体のシビレは腎虚によるものだろう。
(二)主訴①背熱痛と腕痛・・・腎気上攻
(四~五ヶ月まえよりはじまる。
夜間背中が焼けるように痛み、両肩から腕にかけても痛む。
背熱痛今はピークの8/10で夜間のみ。)
・・・腎気上攻による、背熱痛が昂じて腕にまで痛みが広がっている。
陰虚によるものなので夜間に小徐が強い。
主訴の中では一番新しいものなので、最初に変化する可能性がある。
②臀部痛と、伸膝仰臥不能・・・胃陰の不足と血不栄、
(仕事中、昼は忘れているが咳きすると響く。
夜寝ると寝返りでいたむ。部位は左右移動する。
二週間前は、今はピークの5/10。
伸膝で仰臥がつらいので、ふとももに座布団を入れて寝る。)
・・・不眠が続いたり疲労がたまると胃痛も起きる。
今回は、胃痛と臀部痛は同時に悪化したという。
腰痛というよりは臀部の痛みであり、これは脾胃の問題があるときの症状のように思われる。
脾胃の問題で臀部が突っ張るのと共に、血不栄もあると考える。
伸膝で仰臥がつらいのは、背部から腰、臀部にかけての緊張によるものだろう。(背・脊柱左に側弯し、起立筋は左が緊張している。
肩背部は喜按。魄戸・膏肓など肩甲骨付近は、凝っているが圧痛はない。)
血不栄によるツッパリは、血が増せば緊張が緩んで仰臥しやすくなるだろう。
③乾咳・・・内傷虚熱の肺燥
(昼も夜も、出始めるとしばらく続く。痰はなし。)
・・・三十代後半にもセキがひどい時期があった。
今回はすでに二年前から断続的に乾咳が続いている。
痰はなく、内傷虚熱の肺燥によるものだ。
麻杏甘石湯エキスは肺の熱を一時的に取るので少し楽になるが、虚熱の発生源と、熱による肺燥に対応できていないので、セキは止まらない