左右の問題-3 腹・内景図 |
五、藤本蓮風
六、『欧希範五蔵図』と『存真環中図』
七、王宏翰『医学原始』
五、藤本蓮風
臨床的には、右腹は気が昇り、左腹は降り、そしてしているらしい。
気は臍を中心に時計回りに回転
藤本蓮風「弁証における北辰会方式の幾つかの問題点(2)」
(「ほくと」28号2000.11)
・・・4腹診p47「(4)空間・気滞・上下・深浅
図10は私の考えを、簡単に図に表したものです。
この頭の部分が本当は心下まで長いのかもしれません。
(引用者注・図では腹部の図中に人体の縮図が重ねられていて、人体の頭は中脘周囲に位置し、腹部が水分周囲に対応し、陰交・気会周囲は下腹部に対応している。
上肢は肩から手にかけて、順に粱門・関門・太乙・滑肉門に対応し、
下肢は股関節から足にかけて外陵・大巨・水道・帰来に対応するように描かれている。)
両肩に粱門、関門、太乙を配して最後は臍で、これを中心にして横に行く。
それから足。
これは五臓六腑そのものの状態を配置しています。
さらに回転があります。
左上は左下に、右下は右上にという、時計の針の方向に回転しているという現象があります。」
六、『欧希範五蔵図』と『存真環中図』
以下の資料には、肝と脾の左右について、図と解説が載っている。
宮川浩也「中国伝統医学の主要な蔵府説および図について」
(『内経』76号1995.3)
p18-19太字は引用者7.『欧希範五蔵図』(1045引用者注)
宣州の推官(節度・監察両吏の属)の呉簡は、宋の慶暦5(1045)年、逆賊の欧希範ら56人の腹を剖氣、五蔵図を作った。
この『欧希範五蔵図』自体はすでに佚亡しているが、鎌倉末期の梶原性善『万安方』(54巻)・『頓医抄』(44巻)に一部が収められている。
沈括の『夢渓筆談』に、欧希範の図には喉に三孔があるといわれるように、気・水・食の三つを通すといわれる管があるのが特徴である。
また旧来の説にとらわれずに、「肝」は右側にあり、写実的なのが大きな特徴である。
「脾」は左側にあり、
大腸は「⊓」の形に廻曲する、
8.『存真環中図』(1113引用者注)
楊介は、北宋の崇寧年間(1103~1106)に行った解剖の図と、『欧希範五蔵図』と并せて、政和3(1113)年に『存真環中図』を編んだ。
この図も佚亡下が、『万安方』・『頓医抄』などに引用されている。諸書に見える蔵府図は、この『存真環中図』を襲っている。
この図は、よく調べると「肝左脾右」とふたつの系統があるようだが、これについては話がながくなるので省略する。
「肝右脾左」の
七、王宏翰『医学原始』の内景図・・・「右肝、左脾」
印象として、医書の内景図は横向きのものが多く、正面や背面のものは比較的少ないように思われる。
そんな中で、北辰会『臓腑経絡学ノート』(谷口書店1991)の冒頭には、様々な内景図が載っていて、p15には、王宏翰『医学原始』の正面と背面の内景図二枚(面背と面正)が載っている。
この図では二枚とも、身体の右に肝が、左に脾が位置するように描かれている。
そして面正(正面図)では、右に肝、中央に胃、左に脾が描かれていて、実際の臓器の解剖学的配置になっている。
問題(肝脾左右)は・・・意識的に弁別説明してこなかったこと
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