マス(mass)を扱う医学としての近代医学・・・津田俊英 『医学的根拠とは何か』 |
『医学的根拠とは何か』岩波新書2013/11
例によって、まだ三分の一読んだところだ。
残りを読まないとはっきりしたことはいえないが、
EBM・疫学・医療における統計学についての、
よい導論の様だ。
近代医学の内部での、臨床医学分野の問題点が指摘されている。
p53「簡単に言えば、数量化により科学分析をする主な目的の一つは、人を対象に病気の原因を突き止めることである。」
とあるが、「数量化により科学分析をする」というのがこの本の筆者の専門視する疫学のことである。
ただし「人を対象に病気の原因を突き止める」という部分の、「人」は個人ではなく類としてのヒトであり、
「病気」は類としてのそれであり(かつてシデナムが人を見ずに寐瘍氣を見よといった、その病気)、
「原因」とは、統計的に証明されるものである。
これこそまさに、マス(mass)を扱う医学としての近代医学の、もう一つの適応分野であろう。
参考
2011年 08月 05日
3.11以後・雑感メモ-1社会構造と現代の医療、そして伝統医学など
2012年 05月 05日
「心地よいとは言えない」妥協の産物としての「共生」・・・『感染症と文明-共生への道』
2012年 07月 21日
佐藤純一いわく・・・今の医学は「リスク」を管理する
2012年 09月 15日
鍼灸の扱う身体とは-3 関係性
2013年 10月 01日
個々の人間について語れないとき、統計と確率が語り始める