代替医療(Alternative Medicine)とは |
代替医療(Alternative Medicine)あるいは補完・代替医療(CAM=Complementary and Alternative Medicine)という概念は、実質的には正統とされる「近代医学」以外のあらゆる療法・非近代医学を放り込むための「くずかごカテゴリー」である。
今日代替医療と呼ばれているものうち、古い歴史的な起源と体系性を持つものは、20世紀半ばから「伝統医学」あるいは「東洋医学」などとも呼ばれていた。
ヨーロッパの医学も18世紀までは、伝統医学としてのヒポクラテス医学(ギリシャ・アラブ医学の一分枝)であった。
19世紀までは世界の医療は多様であった。(付録三・別冊「歴史と医学」p18)
近代医学が形成されたのは19世紀半ば~後半であり、制度的に(国による統一教育と資格制度、公共医療分野や保険での排他独占など)正統な医学の位置を占めるようになったのも同じころである。(p2~4)
一方、近代医学が生まれた18-19世紀前後の西洋世界の中からは、正統-近代医学とは異なるタイプの医療も生まれていた。(ホメオパシー、メスメリズム=動物磁気、力動精神医学=精神分析的精神医学など)
1980年代以降のニューエイジムーブメント以後、補完・代替医療は、「古くからの伝統医学」と「西洋起源の非-正統医学」に、「新たなもの」が加わり、内容が増加していった。
利用する人も増え、マーケットとしても大きなものになった。(参考文献七、津谷喜一郎「日本の相補代替医療のコストは3.5兆円」参照)
伝統医学 + 非正統(近代西欧由来の)医学 + 1980年代以降に台頭した様々な医学(療法)
これが補完・代替医療のおもな内容である。
「くずかごカテゴリー」であるから内容は当然雑多である。